187 不死鳥と硝子座プロデュース『バーレスクの予知夢』
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【見】 初老 サージオン
苦笑する己の眼前にある出文机、には
何枚もの白の原稿用紙と使い込まれた万年筆
そして木彫りの写真立てで飾られた色褪せた写真が
無造作に、置かれていた
最初に筆をとったときには、
浮島のように頭に浮かぶ数々のものを繋ぎ合わせ
文字に起こすことができたものだが。
寄る年波に勝てないのか。或いは、
己が心躍るようなものを作り出すことに限界を感じたか。
或いは。
妻亡きあと、男手1つで育てた娘が先日。
好いた相手のもとへ巣立ったが故の、虚無感か。
蓄えはあった
このまま書けずとも、方々の劇場や出版社に
脚本や小説を卸してきた今迄の実績
慎ましく生活していたならばもう筆をとる必要はない
【見】 初老 サージオン
窓枠の楡色を日に焼けぬ指でなぞり、
己の進退を脳裏に浮かばせていれば
郵便です、と馴染みの配達員の聲がした
一封の封筒はシンプルではあるが上質な手触りのもの
裏面に書かれた差し出し主には覚えがあった
何度か、作品を下したことがある劇場の
演出家の名がそこにはあった
「ふ、ふ。
――ここ数年。持ち込むこともなかったね。
君は本当に、かわらない。」
あの劇場は、中々に演出も凝っていて。
最後に作品を下したとき、
どう演出されたのかと気になり娘を連れ
劇場へと足を運んだ時には、
その出来栄えに娘も目を輝かせていたものだ。
【見】 初老 サージオン
いかんな。
気を抜けばすぐ過去へと思いを馳せてしまう。
『バーレスク』へ向かう道程にて
初老の男は過去に、現在に思考を散らす
チケットを受付に見せたあと中に入り、
銀のくすんだ懐中時計を、懐から取り出し確認すれば
開演までには間があるらしい
年寄りは、時間より早めにきてしまうからいけないね。
内心独りごちたあと、
劇場内のベンチに腰を下ろし、ステッキを傍に置いたまま
未だ混雑を見せぬ館内の様子を、眺めている――……
4人目、 編集者 アインス がやってきました。
編集者 アインス
もう参加者の方がいるのですね。
早すぎたかと思いましたが……。
[パシャリ、と入り口から見た写真を1枚]
リーサス出版社のアインスと申します。以後お見知り置きを。
5人目、 寿ホ儀 直青 がやってきました。
寿ホ儀 直青
[──どこまでも透明で 不条理な蒼色が──
──末尾と共に翔んで行く──]
[劇場の前。
視界にちらつく蒼色に目を明滅させながら。
僕は顔色も青くして、チケットを握りしめて立っている]
編集者 アインス
[手元の「劇場可愛く撮ってね」の一文に渋面をつくり、パシャパシャとさらに数枚]
先に来られた方は何やら散策を楽しんでおられるご様子。
何かしら楽しいものを見つけたのか、あるいは、それを期待してのものか……さてさて。
最近では世界が滅ぶなどという眉唾話まで出回っていますからね。何かしらよろしくない噂話がお目当てという可能性もありますか。
編集者 アインス
本来は1人1人にお話を伺いたいところですが。
人も増えていくでしょうからね、まずは簡単なアンケートでも。
■普段なにをされていますか？
■この劇場に来た理由はなんですか？
■意気込みを一言！
研究員 エルフ が見物にきました。
【見】 研究員 エルフ
ああああああああ知らない人間が、
人間がたくさんいるうううううう……
[人間の数え方はいち、に、さん、たくさん、である。]
だっ、大体こういうのにあたしが向いてないなんてえのはわざわざ言うまでもなくわかるしょや？人手が足りないにしても適材適所の最低限度は考慮してしかるべきなんですけど、ねえこれ誰の怠慢？ゆるくないわ……そもそも論として協力者についても標的についても情報足りてないんですけどあっそれは事前にあたしから訊ねとけって話ですかそれはそう。それはそうだけどえっ…………えぇー……とにかく来たはいいけど何をどのようにアレしてアレしたら
ひぁっ！？ あっえっ、
ぁっこれ、あっ、
…………こ……このチケット出せばいい？ あーはん？
6人目、 縫合修善 ハリコ がやってきました。
縫合修善 ハリコ
………
[辺りをきょろりと見回して様子を伺う。]
(自分の他にも人がいる……
分からないけれど、あたしみたいに、なにか……
……ううん。わかんない。
分かんないから、あたしはあたしの……)
［両の手を拳にぎゅっと握り、大きく深呼吸をした。］
編集者 アインス
>>65エルフ
ほう、トマトの研究。それは素晴らしいですね。
もちろん高度な研究の類は全て「光の国」において進められるものではあるのですが、トマトとなれば第一産業の要ですから。
人に勧められてというのも素晴らしい。
そのチケットはそう簡単には手に入らないものでしょう。あなたに勧めた方はたいそう気前のいい方と言えます。素敵な関わりですね。
そして最後、これが最も素晴らしい。
帰る場所があるのですね。ええ、大事なことです。
それを守るためならば、どのような困難にも打ち勝てるはずです！ええきっと！
[明らかな挙動不審に、唇の端を歪めている]
7人目、 保安官 ゾーネ がやってきました。
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