[劇場の扉を抜け、夜空を見上げながら帰路に着く。
「解」は得た。同時に、結末は定まった。
であるならば、残る人生は今まで通り己をあらしめるのみだろう。
見慣れた街並みを横目に見ながら進む。
芸術家のブルーシートアート。料理人の新作の弁当。
映像芸術家や、作家の新作を楽しみに。
保安官や青髪の青年の喪われた欠片に哀悼を。
医者と世話人の数奇で暗澹たる運命に救いがあらん事を。
皮肉屋の記者達結社が積み上げたすべてが、きちんと報われますように。
そして、天上の片割れへ祈りを。
大丈夫。
俺は答えも、この感情も、最後の一瞬まで、ちゃんと憶えているから。]