[降下地点、世界の淵に立つ。底は知れない。激しい海鳴りと、星の外殻の向こう側から轟く様な唸りだけがこの場所にある全てだ。掘り尽くされたこの惑星にもまだ、人類が踏破出来ない地があった。否……手を加えて壊したからこそ進めなくなったのか。装備を再度確認し、最終チェックを通過する。手にした得物からは、二十年ほど前から母の様に慕っていたひとの懐かしい匂いがした。]