>>306 雉笛
ああ…被害者遺族ーー…すみません、軽く聞いてしまって。
[それは今まで聞いたどの話より、男には刺さった。
現実の出来事として人で行方不明になっているのだ。
そして、そういう人たちには当たり前に家族がいるーー
しかし彼女は悲壮感を漂わせていない。むしろ凛とした態度、口調のままだ]
……そうなんですね。いや、むしろ貴重な話を聴かせて頂き、ありがとうございます。
[変な同情をするのはきっと彼女の望みではないはずだ。男は冷静に話を進めた。
男が知る情報は彼女の役に立つかわからない。バス内で聞いた病院の話や工事現場の話、放射線についてなどを話した。
ついでに、自分はオカルトに興味がある平凡な大学にである、という自己紹介も付け加えた]
毎年来ていたんですね……去年から何か変わった発見はありましたか?
僕が何かお手伝い出来たらいいんですがーー