[匂いが濃くなる。
視界は朧気で、頼りにならない。
嗅覚は、あの忌々しい臭いばかりを伝えてくる。
唯一、聴覚だけが確かな二人の声を届けてくれた。>>192>>196]
良かった、二人とも……無事だった。
さっきの、多分自転車だと思うんだけど……
こうなってくると、もう何が襲ってくるかわからないな……。
[車じゃなくて良かった。
あれも学校のお化けによる悪戯だったのだろうか。
悪戯なんて生やさしいものじゃない気がする。]
二人がいてくれて、良かった……。
[こんな濃い霧の中、一人では精神的にも参っていたことだろう。]