[硬い椅子の上で目を覚ます。身体はまだ動かない。
初めに襲ってきたのは末端から痺れさせる様な寒さで、
次第に明瞭になる感覚が加工肉めいた匂いを拾った。]
「 随分長い事待たされたよ。
君は全くと言っていいほど
夜に出歩いてはくれなかったからね 」
[白衣を着た、いかにも位の高そうな男。
その隣に知った顔が幾つかある。
彼等はそうだ、“卒業”の日を迎えた子どもたちを
車で送り届ける役目を担った外部の職員だったはずだ。
彷徨う視線に気付いてか、白衣の男が両腕を広げる。
無機質な床に所狭しと並べられた“発明品”を自慢するかのように。]