>>175
[女は沈黙した。言葉だけでなく、思考までもが沈黙した。
細身の怪異を連れた男。
理解ができなかった。
宵闇はどう考えても上背も体格もよく、全然細身ではない。
だが怪異を連れていたのは宵闇以外に女は知らない。]
…生きている人間に会いに行くつもりはない。
死んでいる人間の魂のあるところを教えてくれ。
[雉笛が気乗りしていないのは分かる。
もし、宵闇の怪異が襲ってきたら自分には太刀打ちできないだろう。
だが、女が会いに行こうと考えているのは死者の方。生きている人間の方ではないのだ。]
場所を教えてくれるだけでいい。ついてこなくてもいい。
生きていない方の霊がいるなら、その場所を教えてくれ。
[そう、女は人ならざるものに頼んだ。*]