[はっきりとわかる状況だけを伝えた。不安を煽っても仕方ない。やがて、二人はトンネル付近まで来るだろうか。しかし、辺りの霧がまるでクリームみたいに濃くなり、まとわりつく]雉笛さんーー近くにいますか。[声を掛けながら進むぼんやりとトンネルの輪郭が見える。が、空洞が見えない。落ちていた岩に足を取られ、転びそうになる]危な、岩が……ーーあ、[トンネルが見えた。続いているはずの道が、ない。大小の岩が山肌から崩れており、完全に塞がっているーー]