この霧だと……きっと、学校から出ても、
あのレストランは見えないかな。
[階段を降り、学校から出ようと昇降口に向かいながら、
先ほどは伏せた話をぽつり、ぽつりと。
もはや隠すこともないだろう。]
僕、さ。
一度だけ来たことがあるんだ、この村。
映画完成前に、死斑の映画監督に連れられてね。
「美味しい店があるから」――…って。
当時はもちろん人肉レストランなんて噂もなくて、
隠れた名店的な扱いだったんだけど。
あそこの料理――…食べたこと、あるんだよね。
[それだけ言えば、意味は通じるだろうか。]