ー佐田春陽・家の外へー[家の中から暖かな白い影が二つ、するりと私の後を追ってきた。そうして、私のことを待っている。家に戻ってこいと言わんばかりに。]かえってくるよ。[それはいつか、一度破った約束と同じ言葉。それでも、嘘のつもりはなかった。私は家の敷地の外へ歩き、薄くなった霧…いや、薄ぼんやりとした人影の中を歩いた。*]