[百千鳥かなえは恥ずかしかった。
人と手を繋ぐのが?分からない。
何となく感じる後ろめたさと、そして確かに感じる安堵と暖かさが手から伝わってくる。
まるで迷子が連れられるように黙って手を引かれて歩いていく。
歩いているが最早、道も前も見えていないに等しい。
霧の中に大きな影が見えた気がするが、今はどうでも良くなっていた。]
……。
[はぐれていたらどうしようもなかっただろうと思うとついつい手をしっかりと繋いでしまう。
人と手を繋ぐのはどうしてこうも安心感があるのだろう。
春陽さんだから?
そういえば最初から春陽さんには嫌悪感を抱いた覚えはない。
いやいや、その思考を深めるのは危険だわたし。
極度の緊張と吊り橋効果で…とぐるぐると思考しながら手を引かれついていった。]*