ー現在・病院方面へー
>>93
[二人の話が聞こえていたわけではないが“病院に出る少女の霊”については知っていた。
ネットサイトやオカルトサイト、掲示板などで簡単に得られるような情報についてはかなり調べたはずだ。
“少女の霊”…私が村を出た後に、妹が失踪したのではなく、亡くなっていたのなら17歳。少女と言っても差し支えない年齢だろう。
妹かもしれない、そう思いながら、妹でないかもしれない、とも思う。
病院の人体実験の話を聞いてしまったから…そんなことはないと思っていても、病院にいる幽霊が妹なら人体実験をされていたのでは、その恨みを抱えて夢を見せているのでは、そんな方向に思考が向いてしまう。
いや違う、妹は家で私の帰りを待っている。
病院には誰もいない、いたとしてもそれは妹ではない。
そう言い聞かせて、私はすっかり私の中の妹に取り憑かれていることに気づく。
…そもそも幽霊は存在しない。私は過去と向き合うためにここに来たのだ。
妄想に取り憑かれてはいけない、過去に囚われてはいけない。
前を向かなければ、それを忘れてはいけない。]**