[振り向く。そして、目の前には、緊張した風の百千鳥さんがいた。
いつの間にこんなに霧が濃くなっていたのか、呑まれるように白い霧の中に佇む彼女。
なんだかとても心細げに見える。
この村に帰ってきてから、いつの間にか時間が経っていると感じることが多くて。
もしかしたら、彼女は何か私に話しかけていたのかもしれない。
私が気づかなかっただけで。]
百千鳥さん、大丈夫ですか?
この先に村の避難施設があるんです、そこからなら村を見渡すことができます。
そこまで頑張れますか?
[そう聞いた、死者の声に気をとられ、彼女の声が聞こえなかったのは、どう考えてもよくない]
私と、手を繋ぎませんか?
[彼女の手が、自分の手が、お互いを現世に留める縁にならないかと、そう提案してみる。**]