[『春陽、ちゃんと帰ってきてね。約束だからね。』
『勿論、卒業したら帰ってくるよ。約束する。』
ーまたこの夢だ。
10年前、私が高校進学のために家族のいる星捨村を離れて1年後、村に残った私の家族は失踪してしまったという。
私の妹を含めて。
それ以来、高校卒業まで悩まされた、妹とした約束の夢。
必ず村に戻ると、妹に、家族の元へ帰ると約束した夢。
高校を卒業してからは見なかったその夢を、今年に入って繰り返しみるようになった。
脅迫観念に悩まされる。寝ても覚めても夢の内容が頭をつきまとう。
このままではいけない。
夢の内容を払拭したいのに、夢は忘れられることを拒むように、私の日常を侵食していく]