(おかしい…まずい、予想以上に大きな災害が起きてる。)
[先導してくれている春陽さんの方も何か様子がおかしい気がしたが、いまはそんな場合じゃなかった。
山に向かう途中、警告音はすぐに止まったがいざ確認してみると数値が異常過ぎる。
もしこの履歴が正しければわたしは今、生きているはずがない。
放射線に異常があるというよりはきっと機械の故障であり、それはスマホにも及んでいた。時計から何まで表記がおかしい。
一応ネットには繋がってはいるものの、重くて読み込めない。
重たいうえに壊れてしまったガイガーカウンターはこっそり山の麓に捨てておく。百千鳥かなえはこういう時に邪魔なものはすぐに捨てることを躊躇わない。]
(こういう時はラジオなら電波も届くし故障もしにくい。
山に登ったらつけてみよう。)
[百千鳥は気付かなかった。足音がおかしなことにも。
捨てたガイガーカウンターはまたも警告音を鳴らし始め、そして沈黙し本当に壊れたことにも。]