[こつん、こつん、と小さな足音を響かせながら、小さな影が、ゆるりと、辺りを見回した]
……ここ、どこ?
[辺りは真っ暗。首から下げたライトが自分の近くを照らしているが、遠くは全く見えない。
けれど、見える範囲だけでも、知らない景色なのが分かった。
がさり、と買い物袋から音がする。買い物は無事、出来たのに……
帰り道。早く帰ろうと思ったら、声が、聞こえた。
「新恵ちゃん」
その声に、振り向いたら。霧みたいに、目の前が真っ白になっていて……はた、と気が付いたら、見知らぬ景色の中にいた]
……だれ、だったのかな?
[小さく呟く。声。知っているような、知らないような……よく、思い出せないような……
そんな事を考えながら、ぽてり、ぽてり、と知らない場所をただ歩く]