それから10年経った。
突然家族を失い一人になったが、幸いにして勉強は出来る方だったし、歳の割には大人びていたのが幸いした。
特待生という形で大学にも進学出来たし、それなりに良い所にも就職出来た。
そんな折、夢を見た。
誰かが私を呼んでいる。どこか懐かしい声で。
何かに駆られるように気付いたらここ…星捨村に向かっていた。そして今に至る。
「…確か祖母の家は学校の近く…だったっけ。」
母との会話を思い出す。学校が近いと朝が助かるのよねなんて笑いながら言ってたっけ。
村なんてそんな広いものでも無いだろうし、適当に歩いていたら見つかるだろう。そんな思いで村の中へと足を進めた。