10年前の話。
父と母、私。ごく一般的と言える家庭。
9月の終わりには毎年のように、母の地元である星捨村へ帰省していた。
理由は二つ。
少し時期は外れているが彼岸であること。そして祖母の誕生日であること。
そんな最早恒例と化していたイベントだが、その年はたまたま私は同行しなかったのだ。
高校生だった私は、最後の部活の集まりがあると言う理由で、あとで行くことになっていた。
そんなタイミングで起きた「星捨村集団失踪」
例外なく私の両親も帰ってくることは無かった。
当時の事は今でも覚えている。
ニュースにもなったほどだし、当時知らない人の方が珍しいと言うレベル。
何故かは分からなかったけれど、悲しいとか、そういう感情は湧かなかった。まるで当然と分かっていたかのように。