[避難所を出て神社に向かう道は不思議と静かだった。時折千切れる霧の隙間に鼠灰色の屋根瓦が見える。主人を亡くした大きな家屋には雑草が生い茂っているものの、立派な家屋だったのだろう。門の側には桜の巨木が未だ静かに聳えている渓流が流れる山間の小さな村は、こんな出会いでなければきっと、四季の花が細やかに綻ぶ、瞬く星空の美しい景観だったろうに俺は小さなため息を吐きカメラのスリープモードをオフにするモニターを確認して暗視モードを入れれば自分自身を映して録画を始めた]