ー佐田春夜・学校敷地内にてー
[彼岸花の咲く道を歩き、学校の方へと足を運んだ。
長い間、この地域の子供たちを育んできた懐かしい母校。
今はもう、所々に子供たちの霊らしきものが複数わだかまっている以外はかつての面影は見られないが、10年前までは山奥の村なりに子供たちの声が響く、活気のある場所だった。]
君がこの村の縁者とは知っていたが、この村に住んでいたのか?
それとも元々、村の外に住んでいて縁者がこの村に住んでいたのか?
[なんとなく、そう問うた。
女が懐かしさを覚えるように、雉笛もまた、この校舎に懐かしさを覚えるものだろうか。]