ー佐田春夜・神社から学校方面へー
[雉笛と共に学校へ向かう歩く道すがら女は考えた。
今、何人が生き残っているのだろう、と。
気配を感じとる力も魂の漏出によって弱まったのか、何かがいると感じても、それが生者なのか死者なのかさえ、一瞬では判断がつかなかった。
霧が薄くなり、周囲の死者の気配が薄れても、生者の気配は曖昧にしか感じられない。
それが女の魂の漏出によって感じ取れなくなっただけなら、まだいいのだが。
カナが死んでいると、女は気づけなかった。
もしかしたら、他にも誰か死んでいるのかもしれない。
それを考えると、酷く虚しい心地がした。
せめて生者は、無事に外へと帰れるように。
そして死者は、穏やかに還れるように。
小さな祈りを胸に抱いて、女は少しずつ歩みを進めた。*]