遺体から感染する可能性がある病。
しかも、完全な治療法は確立されていないらしく、進行を遅らせる…もしくは患者自身の回復力に任せるしかないような病のようで、病状が悪化すれば、恐らく死に至ります。
当時、それほど厳重な対処をしても感染が止められなかったとするならば、たとえ病の発生から10年以上経っていたとしても、油断するべきではないかと…そう思うのですが。
[納得してもらえるにせよ、もらえないにせよ、治療法の確立されていない致死性の高い病を広めるわけにはいかない。
その答えがいかなるものであるにせよ、地下の探索はやめさせようと考えて。]
隔離措置などは徹底していたようですから、恐らく失踪事件と直接の関わりは薄いかと思われますが、その一端は担っているかもしれません。
詳しい病状についてなどの資料はまだ見つけていないので、それを探してみようかと思います。
[…そんなことを言いながら、ふと自分で言った言葉に冷や汗をかく。
感染力の強い病、遺体も内々に処理してしまわねばならぬほどの。
そして失踪事件の原因が、もし、その病ならば。
隔離措置でも感染が止められないほどの…空気感染のようなものだったならば。
10年経っているとはいえ、患者が、その患者と関わった者がいたこの場所にも、あるいは病原菌が残っているのでは…?]