動く死体 佐田春陽

>>+>>6:+75
[女の投げやりな言葉に対する雉笛の返答に、女は息を詰めた。
もう生きてはいないというのに、死んでいる今の方が生前よりも心を動かしている気がする。女は笑みを取り繕って言葉を返す。]

そうかもしれない。全ての物事に誠実にいられる人間は、確かにいないだろう。でも、そう在ろうと努力することはできる。
君と私が同じ思いを抱えていたとしても、それに対する姿勢が違うんだろう。君は私よりも、もっと誠実に見えたんだ…

[女と雉笛は違った。問題への向き合い方も、意思の強さも。

それは女が雉笛に対して感じる複雑な感情よりも、雉笛自身の言葉が如実に語っていた。>>+6:77]

強く見えるよ。少なくとも、私には。

[カナのことを言われれば、少しだけ考えて。]

それでも結局、彼女もいってしまったが。
それを踏まえても、私に感謝しているというのか？

[女はカナが儀式を行ったことに対して、自分なりに納得しているが。
巻き込まなくてよかったという雉笛の方は、カナに生きていてほしかったのではないかと思ったから。そう質問した。*]