30 【RP村】スターハント・英雄譚
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魔法剣士 リベリオ
ぐっ……お前、今かよ
タイミング悪すぎだろーが
［ 瓦礫にぶつかったのか
アイツの負った傷が
こちらに流れ込んでくる。
あー……相当痛えもんだな。
口から溢れ出しそうになる
血を飲み込む。
落ちるアイツを拾うのが先。
自分の治癒などしている場合でもない。]
魔法剣士 リベリオ
エアハート
アンタにツラいもん
背負わせちまったな
俺には魔王にトドメを刺すことが
出来なかった
だからやっぱりアンタは
『勇者』 なんだと思う
なあ、その肩書きは重かったか？
俺は憧れたぜ
英雄にも、勇者にも
なってみなきゃわからないんだよな
俺もお前の負担を少しでも背負えれば
良かったんだが……
きっと魔王もそうだったのかも
知れないな……
魔法剣士 リベリオ
［ 見上げた景色が緊迫真っ只中であるのに。
負傷具合も酷いが見た目には出ないから
わからないだろう。
俺の心はどこかすっきりとしている。
大丈夫だ。エアハート一人くらい
送れる魔力はある。安心しな。 ]*
魔法剣士 リベリオ
― 魔王の間：家族 ―
［ スターハント・ブレードが
カチャリと音を立てる。 ］
………ッッ！！
［ あんなに倒したかった”悪”が
もうこの目の前に在る。
魔法で開いた扉から見えた姿
悪の象徴だったその姿は
今の俺には一人の人間に見えた。
魔は人から出来ていたのか？
頭によぎるのは考えないようにしていた
一つの推測。
星が与えた魔の存在だと
魔法剣士 リベリオ
─ とある小国の話 ─
［ 俺の父は英雄王として小さな国の国王だった。
此処の魔物たちは人を襲わず
国民たちとより良い関係を築いていた。
俺と、英雄王であった父、
それを父を更に上回る女傑であった母、
そして一つ下の弟。
小さいながらも平和だった。
ただし城内ではちょっとした騒動があった。
それは俺に血統魔法が使えないことだった。
この国の王家のみが使える魔法。
血により継承されるものは強力であり
限定的な力を発揮する。
ゆえに限られた者にしか受け継がれない魔法。 ］
魔法剣士 リベリオ
［ 俺はいくら頑張っても、鍛錬しても
出来る兆しが見えない。
そんな中弟が血統魔法を使えることが判明した。
父も母も大層喜んだ。……少しの疎外感。
それからどこか居場所を無くした俺を
気にしてくれた奴がいた
ガイコツの兵士だ。
魔物であり、話すことは出来ないが
泣いている俺に花をくれたりと元気付けてくれた。
ただ側にいてくれた。
それだけで俺は救われていたんだ。 ］
魔法剣士 リベリオ
［ ところがある日。事態は急変した。
魔王の力が強まり。魔物が暴れるようになった。
この国にいた魔物たちも人を襲い物を壊し始めた。
父も手のかぎりを尽くしたけれど
被害は大きくなるばかり
そんな時、一つの声が上がる。
「この国の王こそ魔物を呼び込んだ反逆者だ」と
その声を上げたものは
道化師のような歪んだ顔をしていた。
国民たちの見る目が変わった
英雄から反逆者になんてすぐ変わってしまう。
俺たちの家族は囚われ処刑を待つ身であった。
いつも通り暮らしていたはずなのに
魔王が、魔王のせいで
優しかった魔物も変貌してしまった。
誰かのせいにしないと俺の心は破裂しそうだった。 ］
魔法剣士 リベリオ
［ 明日が来るのが怖かった
一日、また次の日とその日が迫り
いよいよ明日が処刑の日となる。
逃げようと何度も言い続けた。
俺たち家族の魔法であれば牢など容易く壊せた。
それなのに両親は逃げようとしない。
国民達はわかってくれると信じて。
信じたまま、死んでいった。
殺された、信じていた国民達に。
両親は自分達の処刑の日こそ
俺たちを逃がせるチャンスだと考えていたようだ。
俺と弟は走った。
二人の首が城の前に並べられ
歓声に湧き上がる騒めきを振り払いながら。 ］
魔法剣士 リベリオ
［ 国を出ても走り続けた。
弟は足が早く、俺の前をずっと走っていた。
その弟の首が飛んだ。
一瞬で。
俺は背にしていたスターハント・ブレードが
俺を守ってくれた。
弾け飛ぶはずだった首への攻撃を防いでくれたのだ。 ］
な、んで
なんで俺じゃない……っ！
［ 俺が死ぬべきだった俺が死ぬべきだった
血統魔法の使えない俺が生き残ってどうする
俺が死ぬべきだった俺が死ぬべきだった
弟の代わりに俺が死ぬべきだった
俺が死ぬべきだった俺が死ぬべきだった ］
魔法剣士 リベリオ
［ 呆然と弟との亡骸の前で立ち尽くす俺に
ガイコツの兵士がやってきた
こいつも変わってしまった。
俺を殺しにきたのだろう。
周りは魔物に囲まれていた。
俺も死んで良かった。
俺だけ生き残ってどうなるというんだ。
呆然としていた俺に
近付いたガイコツの兵士。
ぎこちない動きをしたソイツは
俺に花を差し出した。
いつもと同じように。
それがどれだけ魔の意志に反しているか
俺がその花を受け取れば
ソイツは砂となり風に乗って流れていった。 ］
魔法剣士 リベリオ
［ その花は「ナナカマド」
花言葉は「私はあなたを見守る」
ある時俺は言ったんだ。
「父様のような英雄になる」と
ソイツはその時にも
この花を持ってきてくれた。
それが俺と友の約束
そして小さい国の歴史
それからの俺はまあ想像のつく限りだ。 ］
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