自動人形 ブリジット

―　崩落と魔導砲　―

ッ　――――

[リベリオが飛び降りていってどれくらい経っただろうか。
瓦礫が辺りに落ちていく中、光魔法が放たれるのを見た。>>1:132
攻撃魔法をきっと飛空艇は避けてくれる筈。
それよりも意識を集中し、ギリギリまで魔力を蓄えて。]

ぅ、…っ、ァァ………ッ！！

[魔導砲が、そちらに向かって発射される。
リベリオ達の所に向かったビアンカはそこに居たのか。>>1:175

柔らかな虹色の光が放たれ
光魔法が放たれた所を中心に
ぶわりと包み込み、広がっていく。]

自動人形 ブリジット

[少し、前の。
魔王との決戦の時が脳裏に過った。

自分はいつもの戦いと同じように。
虹彩の力で守護壁を張りながら
仲間達の回復に回っていたけれど―――

その戦い方は、エアハートによく似ていて。>>1:143
…あまりにも人のようであった。>>1:129]

自動人形 ブリジット

　――――　全てのヒトを癒したまえ。



[エアハートも、リベリオも、ビアンカも。
そして、かの大魔王すらも。

人として生を希む全ての存在に
等しく人形の願いは降り注ぐ。]

自動人形 ブリジット

[―――そうして。

虹彩の力を注ぎ切ったその瞬間。
ぐらり、とその体が崩れ。

人形はその場で動かなくなる。**]

自動人形 ブリジット

―　癒し・そして帰還　―

[癒しの力はエアハートたちではなく
しんがりを務め、一人ステージで
戦い続けるロザリンドにも。>>35
それ以外の仲間たちにも勿論降り注ぐ。
残念ながらピギーを救ってあげることは出来なかっただろうが…。>>0

側についていていくれるイルムヒルトの手を
ぎゅうっと握りしめながら耐え。

魔力を全て魔導砲に注いだせいで
稼働に回されるエネルギーがなくなり
身体が動かなくなって
やがて視界が朦朧として来ても
暫くの間、まだかろうじて意識だけは残っていた。


………音がする。>>15]

自動人形 ブリジット

[温かく綺麗なオルゴールの音色。
音と共に感じる、星狩りの力。

目が見えなくなっていても分かった。
リベリオが約束を果たしてくれたことが。>>19]

（…………アア、届いたのデスネ…）

[虹の粒子が地を包み、天へと昇っていく。>>43
その中にひとつ、ひとがたを形作るものが
ぼんやりと霞む視界の中に見えた。]

自動人形 ブリジット

[浄化の力は魔王城に満ちた。
それは同時に、エアハートとの約束を果たしたことを意味する。>>1:16
つまり、自分の役目は終わったのだ。

星狩りの神器たちと同じように、
役目を終えた道具は眠りにつくだけ。

イルムヒルトの掛け声>>41をどこか遠くに聞きながら
安堵したように、口元に小さく笑みを浮かべて。]

自動人形 ブリジット

　　 ………オカエリ、ナサイ………

自動人形 ブリジット

[―――そうして、
今度こそ人形は、完全に意識を手放した。*]

自動人形 ブリジット

―　現在：飛空艇　―

[人形は完全に力を使い切って停止している。

その目には何も見えておらず、
話しかけられても答えることはないだろう。>>51>>52

――――ただ、イルムヒルトが
ありったけの回復薬を注いでくれたおかげか。
あるいは個として最後まで存在し、生を願われた人形への、癒しの恩恵の一欠けらか。
奇跡的に核の部分までは壊れずに済んだ。

内部に虹彩の力はもはや残っていないが。
もし何らかの方法で
代わりの動力を充填することができたなら。
また動き出すこともありうるかもしれない。**]