観光客 シャロン・F

［暫く堤防をぶらぶらと歩いた後、少し身を震わせる。
海風で少し身体が冷えたようだ。
つまり、かけうどんの食べ時だ。

行きと同様に用水路を辿って商店街へと歩いていく。
特に意識して急いでいるわけでもないのに、知らない道だった行きよりも、少しは知っている帰り道の方が早く感じるのは何故だろうか。
旅行中のよくある不思議な感覚である。

行きに比べて帰りは何となく周りを見渡す余裕も出てくる。
別にフェスタの会場がここまで伸びているわけではなく、至って普通の住宅街の街並みではあるが、それでも何軒かの飲食店や小売店がある広い道を横切れば、そのうちいくつかはフェスタに協賛しているのか、貰ったチラシに書いてあったシンボルと同様のシンボルが描かれたポスターを店の入口付近に貼っているようだ。
町全体で盛り上げてやろうという気概が感じられる。］

おっと、僕としたことが。
見落としていたね。

［そして、用水路沿いにもう少し歩いたそこに、ふと普通とは違う広い駐車場と平屋ながら大きめな建物、そして看板の文字を見つけてにやりと笑う。
もう、日本中の色んな所で見つけて、そして入ってきた。
これは、スーパーな銭湯というやつだ。］