コスプレイヤー ジュリエッタ

　いただきます。

[手の中の熱が冷めていくという悲しみに時間が過ぎ去っていくとしても、礼儀正しくいただきます。として、イートインスペースの片隅でもそもそとたい焼きを食べだすのである。
頭からか尻尾からか。なんて考えはしない。渡してくれたおばちゃんがくれた向きから食べるのが正義！]

　……っっっっっんっん……！

[内側から広がる甘味に言葉を忘れそうになる。ビールが体に活力を与えるなら、甘味は脳みそにエネルギーをくれるが、こいつぁガツンときたもんだぜ。

甘味控え目のサクサク生地の内側からねっとりと広がるカスタードの甘味。卵が…卵が…絶対美味しいやつつかってる！そう主張するほどに見目も白というよりも黄色に近いカスタードはまろやかなミルクの甘味を口の中に広げている。]

　（…そうか、この生地があっさりしてるのは、甘さを後に残さないためか。
　そうすることで一口目から二口目へとドンドン口の中に入ってしまう。
　カスタードだけだと甘すぎるが、たい焼きの生地を合わせることで見事な調和がつくられている！）

[まさに芸術！と魔法少女の仮面の中で驚愕しながらも、おばちゃんの仕掛けられた巧妙な味に惨敗した私には食べつくす以外に道は残されていないのであった。**]