74 【完全RP村】明日星町フードフェスタ
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観光客 シャロン・F
― うどん作り ―
［さて、ご自由にのコーナーにあった白い帽子とエプロンを身に着けると、中々に自分も職人風ないで立ちになった。
うどんは作らずとも、着替えコーナーで着替えるだけ着替えて伸ばし棒と共に立つ子の写真を撮っている家族連れも多いようだ。
自分も案内のおじさんに甘えて、スマホを渡して一枚とって貰った。
国に帰っても、こういう写真を見せたいと思う人はもういないけれど、良い思い出になる。
職人になる実績を解除して、満足気に厚めのまな板らしきものが並べられているゾーンに向かった。］
観光客 シャロン・F
［さて、早速作業だ。
袋入りで貰った粉を準備されていたふるいにかけ、少しずつ水を混ぜながら固めていく。
辺りにはすごい勢いで白くなっていっている黒魔術師のような姿の若者…？やいかにも職人な男など、よく見れば家族連れ以外にも色んな参加者がいるようだ。
その姿に勇気づけられつつ、足でふみふみの作業まで進む。
持ち帰り分の粉を貰わなかったから量が少ない。
それでもラップにぐるぐるまきになったそれを精一杯ふみふみした。
ふみふみ ふみふみ…］
美味しくなっている感覚がするね…
［独り言を呟くと、隣で同じくふみふみしていた女の子が不思議そうにこちらを見上げてくる。
しまった。突然声を掛けてくる不審者っぽくなってしまった…
笑ってごまかし、ちょっとふみが足りないような気がしつつも床からたねを持ち上げると寝かせる方のスペースへと向かった。］
観光客 シャロン・F
［次のスペースで話を聞くと、どうやらたねを寝かせる時間は１時間くらいあるらしい。
自分のものを預けると、手洗いとエプロンを一旦返却し、街へと戻る。
そしてそのまま、商店街を今度は抜けるように歩き出す。
うどん前の腹ごなしだ。
少し歩くと小さな用水路のような川があったため、ちょうどいいと辿って歩き出した。
流れに沿って歩いていくと、段々と水路は深くなっていく。
水の色も段々と藻と一緒に濃くなっているようだ。
ああ、これは…］
観光客 シャロン・F
港だね。
［小さな漁港だ。
しっかり内陸側に四角く整備された港に、十数台の漁船が停められている。
港の横にある倉庫は今は午後だから静かだが、空のコンテナが幾つか裏返しで重ねられていて、朝方は使っていた様子がある。
漁港の目の前の駐車場には今は釣り客の車が何台か停められていて、地元の人らしき姿を含め、堤防で何人かがのんびり釣りをしている。
そして駐車場の空いたスペースには…もしかしたらフードフェスタの出張版なのだろうか。
何か屋台のようなテントも建っていた。
つまるところ、この街はきっと魚も美味いのだ。］
ファンタスティック。
明日は魚だな。
［冬の午後は早い。
まだ夕方とはいいがたい時間のはずなのに、もう西日のような、傾きかけた陽の光が漁港に差し込みはじめている。
港内の穏やかな波がきらきらと輝く様を、暫くぼんやりと眺めていた。］**
観光客 シャロン・F
［暫く堤防をぶらぶらと歩いた後、少し身を震わせる。
海風で少し身体が冷えたようだ。
つまり、かけうどんの食べ時だ。
行きと同様に用水路を辿って商店街へと歩いていく。
特に意識して急いでいるわけでもないのに、知らない道だった行きよりも、少しは知っている帰り道の方が早く感じるのは何故だろうか。
旅行中のよくある不思議な感覚である。
行きに比べて帰りは何となく周りを見渡す余裕も出てくる。
別にフェスタの会場がここまで伸びているわけではなく、至って普通の住宅街の街並みではあるが、それでも何軒かの飲食店や小売店がある広い道を横切れば、そのうちいくつかはフェスタに協賛しているのか、貰ったチラシに書いてあったシンボルと同様のシンボルが描かれたポスターを店の入口付近に貼っているようだ。
町全体で盛り上げてやろうという気概が感じられる。］
おっと、僕としたことが。
見落としていたね。
［そして、用水路沿いにもう少し歩いたそこに、ふと普通とは違う広い駐車場と平屋ながら大きめな建物、そして看板の文字を見つけてにやりと笑う。
もう、日本中の色んな所で見つけて、そして入ってきた。
これは、スーパーな銭湯というやつだ。］
観光客 シャロン・F
ふうん、天…然…
まあ、あまり期待しないでおこうか。
スーパーな銭湯の素晴らしさは、そこだけではないこと、僕は学んでいるよ。
［ホテルに置いてきている大きなキャリーバックの荷物の中には全国の幾つかの温泉タオルが入っている。
突然見つけた温泉で買ったもの、これは記憶に残しておこうと思って買ったもの…
我ながら海外からの旅行者としてはそれなりに共同浴場を経験していると自負している。
その経験に基づいて語ろう。
小さな町の井戸水を沸かした銭湯も、真にお湯しかない名湯も良いものだ。
だが、スーパーな銭湯は、またそれとは違っての癒し空間なのだ。
なるほどね…と頷きつつ、明日の予定を頭の中で組み立て始めながら、ゆっくりとうどん会場へと戻って行った。］
観光客 シャロン・F
［何だかんだ、行って戻ってくると時間は優に１時間を超えていた。
もう体験コーナーも受付を締めきろうという時間なのだろうか、まだ体験している人々は居るには居るが、さっきよりステージ周りの人数は圧倒的に少ない。
いそいでたねを預けたスペースに行くと、準備を手伝って貰いながらうどんを切り始める。
「そば」より「うどん」の方が太いはず。
中々均等にも細くも切れないが、うどんだから許されるはずだ。
焦らなくていいよ、という係のおじさんの声に甘えてゆっくりとたねを切っていく。
確か、こんな感じだったはず…と切っていき、そして切ったものをまたおじさんに任せ…］
観光客 シャロン・F
はははぼそぼそ
[出てきたうどんは綺麗なつゆに、少しばかりの長ネギが添えられたかけうどんだった。
早速受け取ると、白い発泡スチロールの器からその温かさが手に伝わってくる。
用意されていた食事用のパイプ椅子に座って器を白いビニールクロスのかかった長机に置くと、手を合わせて割り箸を割る。
そして、一本うどんをうまく箸でつまんで食べた結果がこれである。
思わず笑ってしまった。
なんというか、コシと言うものがない。
心当たりは大いにある。
ふみふみが中途半端だったのだ。］
観光客 シャロン・F
さすがの僕もこれは褒められないねえ。
［と言いながら、箸は次のうどんを絡めて口へと運んでいく。］
でもさ、美味しいよ。
不思議だね。
［苦労した、というほど苦労して作ったわけでもないが、何故か少しぼそぼそのうどんはつゆが良く滲みて、美味しく感じられた。］
まあ、毎日食べろって言われたらノーセンキューだけどね！
［苦笑いしつつ、最後のうどんと、つゆまで綺麗に飲み干した。
身体がいい感じに温まる。
が、とりあえず今日は荷解きや片付けのためにホテルに戻ろう。
さあ、明日はどんなものを食べようか。
夜の街へと移り変わりつつある飲食店の様子もしっかりリサーチしつつ、そろそろ日が暮れそうな商店街を後にした。］**
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