74 【完全RP村】明日星町フードフェスタ
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軽音部 東風 一吾
[クン、と足を止めるに十分な香りが、
まるで一つの縄のように俺の体を絡め、引き止める。
焼ける匂いだったけれど、
肉とも魚とも違う、これは…？]
……卵焼き！！
[振り返った先の幟の文字は。『採れたて卵』だ。]
【削除】 軽音部 東風 一吾
―― 明日星農園直売所 ――
このだし巻き卵ちょーだい！
ちょっと待つから今やってる焼き立てがいい！！
[足はもうそちらにまっしぐら。
野菜の並ぶ少し先、カセットコンロに四角いフライパンが乗っている。
ガンバリ君ではなく、ここの農園のヒトなのだろう。
あいよ！といい返事をもらうことができた。
"明日星町にはまだまだ広い土地もあって。
それを生かした野菜も名産だけれど、
ケージ飼育じゃなくて、農地を自由に歩かせる
平飼いという形式で卵を育ててるんですよ"
…と、小学校の頃に社会科見学でここに立ち寄ったことがあった。
有名じゃないけどいわゆるブランドがあるのだ。
卵コーナーにも売ってるけど高くて親は買わないヤツ。]
軽音部 東風 一吾
―― 明日星農園直売所 ――
このだし巻き卵ちょーだい！
ちょっと待つから今やってる焼き立てがいい！！
[足はもうそちらにまっしぐら。
野菜の並ぶ少し先、カセットコンロに四角いフライパンが乗っている。
ガンバリ君ではなく、ここの農園のヒトなのだろう。
あいよ！といい返事をもらうことができた。
"明日星町にはまだまだ広い土地もあって。
それを生かした野菜も名産だけれど、
ケージ飼育じゃなくて、農地を自由に歩かせる
平飼いという形式で卵を育ててるんですよ"
…と、小学校の頃に社会科見学でここに立ち寄ったことがあった。
有名じゃないけどいわゆるブランドがあるのだ。
卵コーナーにも売ってるけど高くて親は買わないヤツ。]
軽音部 東風 一吾
[でも、その旨さは当然知っている。
小学生のときから、芋の前からの『好物』になったものだ。
肉や魚より、実は俺は断然好きなんだ。
しばらくして発泡スチロールの平皿に。
大きくカットされた卵焼きがデンッと乗ったものがくる。
歩く暇すら惜しくって、
そのまま備え付けの平たい楊枝で切って挿して、
大口でそれにかぷっと食らいついた。]
軽音部 東風 一吾
……んぅ～～～！最高！
[それは衝撃よりも、安心感。
口にしてすぐ広がる多幸感は、何度も味わったものだ。
焼き目の内側。よくある卵の黄色じゃなくって、
濃厚な黄金色から漂う味は、これ一つで卵3個食ってるみたいだ。
それを口の中で押し広げるのは、
噛んだ瞬間にじゅわ！と広がる白出汁の味。
幼い頃、甘い卵焼きしか知らなくって、
塩っぱい卵？と聞いたままに食べたこの味が、忘れられない。
どっちも好きなんだけど、どっちか選べって言われたら。
迷わずだし巻きを選んでしまう位には、大っ好きだ。
思わず顔を綻ばせ、写真を撮るのも忘れて、
数分しないうちにぺろりと平らげてしまった。]
軽音部 東風 一吾
ごちそーさん！
………。
[ゴミを備え付けのゴミ捨て場に返却して、
店員さんに礼を言ってから、しばし硬直。
……食べたりなかった。
でも、また卵焼きを食うのも惜しい。]
…あー、おっちゃん。
この生卵4個パック包んでくれる？
[卵焼き…も、好きなんだけど。ソレ以上に好きなもの。
それに揺らいで、販促され見事に買ってしまった。
ちょっと持ち歩くには割れるのとか不安はあるけど…。
ま、いっか。と楽観して紙袋を受け取るのだ。
……白飯だけ売ってるトコってあるのか…？
無きゃ家に持って帰るしかないか。]**
軽音部 東風 一吾
……クッ！
いや、俺は…俺は決めたんだ…！
他の
[連れがいたら「なーにいってんだコイツ」って
間違いなくツッコミが入るだろう呟きと共に歯を食いしばり。
もともと向かおうとしていた方角に歩みを進める。]
軽音部 東風 一吾
―― カレー専門店「Apsaras」 ――
[マップを見ても良かったけれど
匂いですぐわかるものだったから、迷わずにたどり着く。]
キーマカレーの辛口一つ！
ライス大盛りでお願いします！
…あ、あと少しだけ醤油あったら貸してくんない？いい？あざす
[たどり着くや否やすぐに、メニューも見ずにすぐに注文。
ここに関しては同級生ネットワークで情報を得ていたから、
何があるかと把握していたのだ。
カレーの店は様々あったが、
ここはいわゆる日本系のカレー屋で、
ナンや麺類は無いけれど、ごはんが無料で大盛りになる。
（逆を返せば、ご飯無しも注文できるのも>>91ココだ）
これがメインの昼食になるから…と、
カレーを選んだのも確かだけれど。]
軽音部 東風 一吾
[一皿カレーを受け取って、
イートスペースの空きテーブルを見つけてすぐに腰掛けて。]
さーてっと…
[カレーのかかってない白いご飯部分の上に、
紙袋から取り出した生卵を一つ。
軽くコツコツと殻を叩き、両手で中を崩さないようにそっと落とす。
かつて偉人は重力を見出し、
重力を見出した果実で人間が堕落したという。
落ち行く輝きと魅力に、人間は抗えない。]
軽音部 東風 一吾
[罪に罪を重ねるように、
（あるいはカレーには絶対邪魔しないように）
続けてほんの数滴だけ醤油を落とす。
箸で混ぜてかっこむのが流儀だけれど、
今日ばかりは強欲なので、致し方なくスプーンだ。
醤油と黄身を割る――にも、いつもより力が必要だった。
張りのある新鮮な卵はすぐに膜を破けない。
それこそ自分を焦らすに十分な時間になっていく。
白く湯気の立つご飯にとろりと黄身が絡まって、
全体へと馴染んでいき…。
…ああ、なんて今日は黄金色に縁のある日なんだろう！]
軽音部 東風 一吾
[煮玉子、卵焼き、スクランブルエッグ…
形を様々に変える卵は様々な料理になるけれど。
料理というには、拙いかもしれないけど。
俺は…俺はこれがやめられない。
……！！
いっただきまァす！**
軽音部 東風 一吾
―― 続・TKG、それから ――
[卵を絡めた白米を口に入れた途端。
その味を知っている味蕾が震え、舌が一層米粒を掻っ込もうと震える。
慣れ親しんだ味。
それが一番の欲を満たす快楽物質を分泌するのだ。
卵焼きと同じ原料の筈なのに、
満たされる感情はどこか違いがあって。
卵焼きの幸福を陶酔と表現するなら、
生卵は、乾きに潤いを齎すオアシスのよう。
どちらも好きな筈だけれど、
求めていたのは、こちらのようにも錯覚する。]
軽音部 東風 一吾
はぁ、…高い卵ってやっぱ違うんだなぁ。
[生まれも育ちも一般家庭の俺は、
グルメとは決して言わないのだろうけど、
バカ舌でもその違いがわかる。自信がある。
鼻から抜ける卵の香りを十分に堪能した…となれば、
新たに鼻を擽るのはスパイスの香り。
普通のカレーも当然好きだけれど、
せっかくだからと俺が好き好んで食べる方をチョイスした。
ナンで食べるのもまた一興だけれど…
今は白銀と黄金の入り交じる、この御飯に更に混ぜ込もう。]
軽音部 東風 一吾
[スプーンで卵の残るご飯と、カレーを軽く混ぜて。
口元に近づけて――舌先に乗せれば。]
あ～～……うーーまい！
[卵の香りを、ぶわりと複雑な香辛料が覆い尽くす。
クミン。ターメリック、コリアンダー。
他のカレーより単純で、けれどもその三音こそが黄金比の基本。
辛さよりもうまみが広がるのは、
ホールトマトやにんにく、たっぷりのひき肉のおかげだろう。
徹底的に炒めた玉ねぎの甘さがそれらを引き立てて、
香りと味という「音」が、耳ではなくて口を支配する。]
軽音部 東風 一吾
[朝からクレープや焼き芋だって食ってるのに、
自分が男子高校生だから、とか、なんにも関係ない。
この香りに、脳や手、口の中が勝手に動き、
飯を食らうのを止められないやつなんているわけない。
このカレーの美味しさだけでも満足度が高いけれど、
今日は生卵乗せというオプション付き。
ソレに関しては賛否両論あるかもしれないけれど、
俺はちょっとこの辛味のまろやかになる具合だって大好きだ。]
軽音部 東風 一吾
[7割ほどを食べきった後。
次の品定めをするか…とテーブル脇にスマホを置くと、
それと同時によく聞く着信音が鳴る。
（良い子のみんなは食事ながらスマホはやめましょう）
着信相手を確認してから、片手間にそれを取って、
モゴモゴとカレーを食べ続けながら通話する（やめましょう）]
もしもーし。どした？
今？グルメフェスタおるー。
…あ、ほんと？じゃ今カレー食ってるから
終わったらそっち行くわ。
[電話の相手は同じクラスの友人だ。
さっき告りにいったアオハルの連れとはまた別の。
どうやら駅前に遊びに来てたようなので、
これから混ざらないか、という、なんてこのない誘いだ。]
軽音部 東風 一吾
[もうひと品くらいの余力はあったけれど、
多分カラオケとかいったらなにか頼んでしまうのだろう。
…軽音部の練習？しないしない。向こう関係ないし。
合流したら、お前らも行ったの？なんて聞いてみようか。
明日以降の情報収集は必須項目だ。
旨さに浸る食べ方をやめて、
残りものを全部かっこむように流し込んで。
ゴミはきちんとゴミを捨てる所へ片付けては、
足早にその場を後にし、金曜日の戦いは終わった。]
軽音部 東風 一吾
[その夜。
家族になんてことない雑談で今日一日食べたものを報告したら。
『アンタ！もっと野菜食べなさい！！』
と、母親から晩飯にボウル一杯のサラダを盛られたのである。
忍者は好物はあって、嫌いなものも殆どないが、
自主的に野菜を食べないので母に弱いのである。]**
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