59 【ホラーRP村】晩秋の怪
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【墓】 動く死体 佐田春陽
ー佐田春夜・戦闘の結末ー
[女と集合霊との戦いは、一応の決着を見せた。
右手は失ってしまったものの、その他には目立つ損傷もなく。
ただ、集合霊の一部が消え去る際に遺した言葉に、女はぽつりと呟きを漏らす。>>3:＊15]
…すまない。
[寂しかったのだと思う。その気持ちはよく分かる。それでも。]
君たちが、次はちゃんと生まれてこられるように私は願うよ。
[雲散霧消してしまった魂に輪廻というものがあるのか、定かではないけれども。
放置しておくことはできない、生きるべきものを死へと引っ張るものは存在してはならないから。
せめて、次に願おう。ちゃんと生まれてこれるように。]
【墓】 動く死体 佐田春陽
ー佐田春夜・神社の方へー
[それから考える。あの異様な気配。どう考えても人ではない。>>3:148
人ではないが、死んでいないように思えた。
自分と同じように、魂が死体にくっついているのかとも思ったが、それとも違うような気がした。
清涼な音が響けば、わずか、思考も明瞭になる。>>7
先ほども鳴った鈴の音、10年の孤独に濁り淀んだ心を清め、自我を取り戻させてくれた音。>>2:83]
神社だ…神社に行こう。
[境が曖昧になった後、聞こえた鈴の音は神社のものだろう。
どのくらい効果があるか分からないが、影響力の小さい霊への抑止力にはなるかもしれない。そう考えて。]
【墓】 動く死体 佐田春陽
ー佐田春夜・籠宮家から神社方面へー
動こう。
[時空を歪めて動ければ、わざわざ歩くこともないのだが。
女は肉体の縛りを受けて、今は生者との縁を頼りにするしか、時空を歪めて移動することができなかった。
神社の方向に、女との縁を持つ者の気配は感じられない。
呼ばれている気配も感じられないので、村の出身者すら存在しないのかもしれない。
そうなれば、この動きづらい身体で歩くしか、移動の方法はない。
それでも、女は神社の方面へと足を踏み出した。自分にできることを探して。**]
【墓】 幽霊 佐田春陽
ー佐田春夜・神社へー
[死者は生者に引き寄せられる。その生命力に惹き付けられる。
こと、10年もの間、現世から切り離されたこの村の霊においては。
孤独を憂い、現世にも黄泉にも戻れず、彷徨うことに飽いて、生者を渇望し、10年もの歳月が過ぎたこの村の霊においては。
生者とは待ちに待ち続けた甘露のようなもので。
走光性を持つ虫が、明かりに吸い寄せられるように、生者の方へと引き寄せられていく。
この村に存在する死者は、霧となって生者の目に認識できるほど多い。
数が多すぎる。
だからせめて、霧の影響を少しでも減らせるならば。生者に干渉する死者の数を制限できるならば。
生者が無差別に殺されるようなことはないかもしれない。
女は考えながら、歩く。鳥居の影が、そろそろ見えてくる頃だった。**]
【墓】 幽霊 佐田春陽
ー佐田春夜・神社にてー
>>＊4
[生者の気配がした、そちらも気になったが通りすぎた。
それ以上に異様な気配が神社の拝殿の方にあったからだ。
階段を一歩、一歩、上へと歩を進めながら、女は異様な気配の正体を探った。
霊や怪異の類いと言い切れない…もしかしたら神の類いなのかもしれない…本性の分からない、不気味な存在感を放つものがそこにいた。]
…まさか生者ではないだろうな。あなたは何だ？
[女は目の前の人の姿を模したものに問いかけた。そのものの正体は知っておかねばならないような気がした。**]
【墓】 動く死体 佐田春陽
[彼女を死に引っ張ったのは、間接的には自分だろうと女は思った。
現世と黄泉の境界が曖昧なこの村で、現世に留まる拠り所にしていたのであろう存在を、女が奪ったからだ。
拠り所を失い、死に引っ張られてしまったのだ。
その原因を作ったのは女で、だから女は、悲しくも辛くもなかった。]
致し方ないな、元々、死に引っ張られていたようだった。
[そして、彼女を託そうと考えた男のことを思い出す。
彼の気配はここでも感じる、強く生命力に満ちた気配。
その強い生命力にかき消され、百千鳥の気配を感じないのだと考えていたのだが。]
…宵闇さんは、彼女と離れたのだろうか。
[きっと死に近づく百千鳥を引き留めてくれると、そう思っていたのだが。*]
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>*6
[女は困惑した。
何故、責任の所在を考えていたことを見抜かれたのか。
何故、自身の目的を見抜かれたのか。
このものが、全てを超越した存在であり、人知の外側にいるものなのだと改めて実感した。
そういうものだと理解していても、実感を伴っては気味が悪く感じるのは、死してなお人間だからか。
不気味な思いを抱えはしたものの、女は疑問を投げかける。]
雉笛湊とは何者だ？
私は私の目的が果たされれば、基本的に手段は問わないが。
手を出すな、とわざわざ言い添えるにはこの村の関係者であるはずだな。
何故その者に執着する？自ら手にかけたい理由はなんだ？
[女は村を終わらせることが目的だ。
その目的を果たすためには村の関係者を見つけ、葬らなければならないが、女はそのための手段を自らの感覚に委ねていた。
村の縁者を判別することは可能だと考えているが、その内実までは分からない。
誤って雉笛という者を殺す可能性すらあり得る、それを回避するために、女は問う。**]
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>31
勿論、約束だというのならば、邪魔はしないとも。
約束を反故にするのは、私の信条に反するからね。ただ…
[もう届かないであろう相手に、女は呟いた。]
あまり、苦しめないでやってくれよ。
[約束を果たすだけならば、苦しめる必要はないだろう。
異形のそれが、約束を果たしに、この辺鄙な村へとわざわざやってきた。
それだけで、そのものにとって、その約束がどれだけ大切なものなのかが分かる。
きっと雉笛という者も、大切な存在なのだろう。
だから、約束は邪魔しない。村を終わらせるためにも、それは必要だ。
ただ、その約束が正しい形で果たされ、その結果雉笛という者が苦しまなければいいと、女はただそれだけを思った。*]
【墓】 幽霊 佐田春陽
ー佐田春陽・山のどこかでー
[あれだけ濃かった霧が、今はどこにも見えなかった。
揺蕩う人影だけが、視界のそこここに蟠っている。
村の方には蛍火のような明かり、いや明かりのようなもの。
見るだけで暖かさを感じさせるようなそれは村の中にぽつぽつと点在している。
動こうと思ったが、動けなかった。
何故身体が動かないのか。声が出せないのか。
疑問に思ったけれど、いかんせん動けないのに変わりはなくて。
私はその場で、ただ村に点在する暖かさを眺めていた。]
【墓】 動く死体 佐田春陽
ー佐田春夜・神社敷地内にてー
>>45>>46
私は人間ではないな。怪異と言って差し支えないだろう。
人間であるならば、腕をもがれて普通に歩けるはずがない。
ただし、君に害を及ぼす怪異ではないと、それだけだ。
[味方という言葉を聞いて、女は一瞬思考する。]
味方か。どうだろうな。
その蛍さんのお兄さんとやらを私は知らないから、味方がどのようなものか分からないのだが。
少なくとも危害を加えるつもりはないな、怪異が現れて守ってやれるかは定かではないが。
なにせ腕が見ての通りだ。守ってやりたくても限度があるだろう。
[嘘は言っていない。彼にとって女は害になり得ないだろう。
彼は村の関係者の恋人だったかもしれないが、縁者というほど深い縁を感じない。
女は自分の事情と立場を説明し、一つつけ加える。]
【墓】 動く死体 佐田春陽
宵闇という男性だがな。先ほど彼の気配に揺らぎを感じた。
死んではいないが、何かあったかもしれない。
神社でやるべきことを終えたら、彼のところへ向かいたい。
君も一緒に行ってくれないだろうか？
[守るべき者は一所に集まってくれた方が守りやすい。女はそう考えて、男に提案をした。**]
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>51>>52
[失踪した人ではない、村人ではない、どちらにも同意は示さなかった。その前に男が拝殿の中へと入っていったからだ。]
待ってくれ、私も神社でやることがある。
手水舎で身を清めるのを手伝ってもらえないか。
鈴の音は怪異の力を弱める力があるんだ。
ここで参拝することで、ある程度の恩恵を受けられるかもしれない。
…公園？
[公園の近くの家、怪異と交戦中に感じた死人のような気配。]
公園の近くの家で、私は怪異と交戦したが。人の気配はなかったぞ。
名前は、佐田だ。佐田春夜。名乗っている場合でないような気もするが。
[公園付近の家には、人の気配は感じられなかった。
それは伝えておくべきだろう、そこに行っても今は誰もいないのだから。*]
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>56
[男が参拝するのを、女は見守った。
女も参拝したかったが、腕がないのだから仕方ない。
澄んだ音が辺りに響き渡れば、一部の死者は現世の境界を越えられなくなり、わずか霧が薄くなっただろう。
それを確かめてから、女は言葉を紡ぐ。]
宵闇という男性は、通常の人間よりも怪異に好かれやすいのだろう。
彼がどこにいても、生きていれば私には分かる。
[そうして、女の意識は男の自己犠牲とも取れる言葉を受け取った。
女は無意識に、怒りを込めて男に語りかける。]
…以前も同じような言葉を聞いたな、自分はどうなってもいいから相手を助けたいと。
ふざけるのも大概にしろ。
棄てられる程度の命で助けられる命など大したものではない。
[女は吐き捨てるように続ける。]
【墓】 動く死体 佐田春陽
君にとって宵闇という男性は大切な人ではないのか？
大切だというのならば、自分の犠牲で相手が喜ぶのかどうか考えてみるといい。
君が犠牲になって宵闇という男性が喜ぶと思うのか？
何故こんなことをしたと悲しむのではないか？
[女は自分が怒りを感じていることを自覚し、暫し言葉を切って、自身が落ち着くのを待った。]
相手を大切に思うのなら、相手からどう思われるかを考えるといい。
相手を本当に尊重したいならば、もっと自分を大切にしなさい。
[いつか、届かなかった言葉。再び届かないのかも知れない言葉。
それでも、紡がなければならない言葉。
女の口から言うべきことでないのかもしれないが、それでも女は男に百千鳥の影を見て。
彼女と同じような結末を避けるために、同じような言葉を男にかけた。*]
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>70
それでは君が死んだとき、彼が泣くのを、失意の底に沈むのをみて、やめればよかったと後悔すればいい。
そして君の、彼に生きて、自分の代わりに誰かに何かを与えてほしいという言葉。
彼が君の期待通りに、誰かに何かを与えられるとして、それで彼には誰が与えてくれるんだ？
彼が他人に与える分、彼は誰から貰うんだ？
君の押しつける命の重みが彼への贈り物になるのか？
私は、ならないと思うね。
君は生きて、宵闇さんに、ちゃんと贈り物をしなさい。
宵闇さんに生きててほしいってちゃんと言うんだ。
命を捧げるより、よほど彼への贈り物になる。私はそう思う。
役に立つかどうかなんて、君が決めることではない。
君がいて役に立つと思う人間があれば、君は役に立つ。
君は両腕が揃っていて、暖かい体温があって、共に生きていくことができる。
私では宵闇さんに与えられないものだ…私は君が羨ましいよ、充分、役に立つはずだ。
【墓】 動く死体 佐田春陽
君が持っているものは、君は気づかないかもしれないけれど、とても貴重で、代わりの利かないものだよ。
自分を心から慕ってくれる人間は、とても少ないんだ。
君には君を大切にしてもらいたい。
[いくら言っても無駄かもしれない。
女は宵闇の気配が移動したのを感じて、内心焦燥も感じていた。
また、死に呼び寄せられるのかもしれない。
死ななくてもいい人間が。
焦燥に胸を焦がしながら、女は言葉を結んだ。
移動するか迷っているのだった。*]
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>83
私は彼のために戦うことができるが、彼が辛いときに寄り添うことはできないし、彼の頑張りを見届けることもできない。
私にはできなくて、君にはできる。でも君はそれをしないと言うんだな。
私は戦うことしかできない、だから戦うんだ。
そして皆は救えない。最初に言ったように守れるものには限りがある。
私は君を殺さない…が、君以外だったらどうだろうな？
[女は男の態度を見て、自らも態度を改めることにした。
この男は決定的に自尊心を損なっている、それは女にもどうしようもない。
だから、殺さないという事実を押し出した、そして他の人間ならば殺すという事実もまた提示した。]
何かを守るために犠牲を厭わないというのなら、私もそうしよう。
君のために沢山の人を殺そう。彼のためにも人を殺そう。
生きるべき人を生かすために殺すべき人を殺そう。
私もそうしよう。君は私にヒントをくれた、ありがとう。
[そして女は気配に気づく。誰か来たようだ。*]
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>88
[男の怒声が響き、そしてそれに女性の問いが重なった。>>+87
青みがかった髪、雉笛か。
そう考えて、横に背の高い女性がいるのに気づく。
こちらは弱く惹かれるような感覚がして、ああ、こっちが雉笛なのかと気づいた。
弱々しい声に苦笑して。>>89]
急に大きな声で牽制してしまってすまないな。
いや、牽制したのは私ではないが。あちらの、イコマだったか。
あちらの男性だ、少し揉めていてな。驚かせてすまない。
カナさんか。こんにちは、大事ないか？
[ごく普通に話しかけることにした。雉笛という女性を、視界の端に捉えながら。*]
【墓】 動く死体 佐田春陽
ー佐田春夜・神社敷地内にてー
[男と言い争っている間、冷静さを欠いていたのだと、今更気づいた。
彼女たちが来てくれて助かった。心底、そう思う。
何故護るべき存在を激昂させていたのか。
彼は心底他人を思いやれる優しい人間で、綺麗事が通用しないのだともっと早くに気づけばよかった。
何かをするときに犠牲が伴うと知っているのだろう。
他者を優先順位の上に置くから、必然的に自分が下になる。理由のない自己犠牲ではない。
それでも怒ってしまったのは、やはり嫉妬や憧れか。
どちらにせよ怪異らしい理由であることに違いはなく、そこに人間の都合は存在していない。
しかし彼は人間だった、故に怪異の理論は通用しない。
女は頭を冷やして、そのことを今一度頭に叩き込んだ。]
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>92>>95
意外と二人とも冷静なんだな。
腕のない人間にあったら普通叫ばないか？
[叫ばれても困るが、男と会ったときには叫ばれた。男は助けを求めていた。
本当は、きっと死にたくないのだろうと思う。
ただ自分の生に意味を見いだせなくて、誰かのためになる方法を必死で探しているだけなのだ。
必死で考えた結果を否定されたから、あれほどまでに激昂したのだ。
女の推測だが、女はそう納得した。
努力を頭ごなしに否定され、できるか分からないことを無責任に押しつける。
結局は女も、男が宵闇に押しつけようとしたものを、男に押しつけただけなのだ。
考えながら、女はカナという女性に返答を返す。]
私は…見て分かる通り、腕のもげた死人だ。
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>104
私も悪かったよ。君の考えを頭ごなしに否定したのはよくなかったと思う。
色々と食い違いがあって揉めていたんだ。詳細は聞かないでくれ。
私たちは宵闇さんのところへ行こうとしていたんだ。
[女は宵闇の気配をしかと捉えている。
揺らぎ、以前に比べれば格段と弱々しく感じられる気配。あれほど強かったのに。]
私は参拝すれば例の影響力が弱まると思ってここへ来た。
イコマさんは手がかりを探しにここへ来た。
君たちも参拝していくといい、多少の加護は受けられるだろう。
どうする、イコマさん。宵闇さんのところへ行くか？
それともここで今暫く彼女たちに事情を説明するか？
私は正直、宵闇さんのところへ向かいたい。
[そう、三人に聞こえるように問いかけてみただろう。*]
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>112
[人ならざるものが降りてきたのを女は感じた。
視界を覆うほどに集まっていた死者が、道を開けるように空間を開けた。]
待て。一人ずつ行った方が良い。
カナさんは後にしなさい。
[女は胸に鈍痛を感じた。ような気がした。しかし巻き込むわけにもいかない。]
マナー違反かどうかはさておき、私がそうしておきたかったんだ。
癪かもしれないが、そういうものだと思っておいてくれ。
君が努力しているのを認められなかった、認めたくなかったのは私の落ち度だったのだから。
そして、マナー違反についてはカナさんにいっぱい謝るといい。
[そんな風に付け加えた。]
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>115>>117
[カナとイコマ。二人のやり取りを聞いて、女は言いそびれていたことを告げることにした。
自分は然程力になりそうにないが、この村と関係のない二人を巻き込んでしまったからには、持っている情報は出しておくべきだろう。]
イコマさんと会ったときに言いそびれていたんだが、私は村の人間だ。
10年前、村がこうなる直前に病で死んだから、直接的に村が変貌した原因は知らない。力になれなくてすまない。
怪異が訴えたいことに関しては、それぞれ主張が違うから、一つにまとめることはできない。
大多数は君たちを死に引きずり込みたいんだろうな。
私たちは生きている者を羨ましく感じる、そういう存在だから。
…言っておいてなんだが、全く意味のない言葉だったな。
言わない方が懸命だったかもしれない。重ねてお詫びする。すまない。
ただ、村の伝承などについては、ある程度教えられるかと思う。
あくまである程度だが。
[女は持ち得る情報をある程度開示した。反応はあるだろうか。*]
【墓】 動く死体 佐田春陽
ー佐田春夜・神社からレストラン付近へー
>>123
[女はこくりと頷いた。
そして、残していくカナと、間を置かずして命を喪うだろう少女をちらりと見やって。]
イコマさんを送り届けたら、迎えに来るよ。約束する。
[そう、約束だ。人ならざるものとの約束は果たした。
あとは生きるべき存在を文字通り死力を尽くして護る、そういう約束だ。
女はイコマの手を取った。そして時空を歪めて、歩き出す。
酷く揺らいでいる、酷く不安定な、男の気配に向けて。
そして惹かれる感覚を覚える。女はわずか、唇を噛んだ。
宵闇と自分は…否、イコマもカナも、自分と道を違えるだろう。
女は護るべき気配と、葬るべき気配を感じながら、足を進めた。*]
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>128>>129
[告げられた言葉に一つ一つ、女は返す。]
死班というのは知らないな。
伝染病というなら、流行っていると噂を聞いたことがあるが。
ヨミガエリは私がここにいる理由だな。
死にきれなかった死者を蘇らせて、黄泉へと還すんだ。
死にきれなかった死者は、今みたいに生者を死に引きずり込もうとするから、それを防ぐために行う。
もっとも、やり方を間違えると、本当に死者が蘇る。今の私のように。
死者が人を殺す理由は、大体が黄泉に還るためだ。
死を慰められないと、永遠に現世と黄泉との境をを彷徨うことになる。
だから、死を慰めてくれる人や縁を求めて、人を殺すわけだ。
理には敵っていないだろうが、死者は大体孤独に耐えかねて自我を失ったものも多いからな…寂しいんだよ。
数え唄は、古い伝承をまとめた唄だったか。
覚えてはいるが、意味までは…いくつか思い当たる節があるくらいで。学校などに文書があるかもしれない、後で探してみよう。
[そんな風に、曖昧ながらも一つ一つ説明しただろう。**]
【墓】 動く死体 佐田春陽
>>141
[声は届いたようだ、女はわずか安堵した。
幼子を背後に庇う宵闇の姿を見て、もう動かないはずの心臓が引き絞られるような痛みを訴えた。
しかし、女はそれを無視する。
女は目的を最優先に考える、それだけを考えようと心に決めた。
女はイコマを引き連れて、宵闇と幼子に話しかける。]
すまない、驚かせて。イコマさんを連れてきた。
[女は右腕がないのを誤魔化すように、イコマを自分の前に押し出す。]
頼れる人間は、多い方がいいだろう。
生憎と私は、頼りにならなくて申し訳ないが。
[宵闇から、幼子から、自らの身体の空白を埋めるように位置を図った。**]
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