33 終末文庫プロデュース「トワイライト・リライト」
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【見】 理事長 玉森恭子
アナタ達のPlaylistは、まだ始まったばかりよ。
…………幸せに、生きてね。
I wish you good luck！
海藤コウ
あ、マジ？もう終わったのかよ。
結構短かったな？
[自室にて知らせを聞く。]
あーあー、嘘だろ。来るつもりはなかったんだけど、せんせーが『宇宙人が来てる』とか焚きつけるからさー。でもさ。本当にいたの？
居たんだったらさ、俺、もうちょっと話したかったなって思うんだよな......
放課後の猫 三國萌々子
［列車はそろそろ目的地に着くらしい。
すでに十分楽しんでいたが、ここからが修学旅行の本番だ。
降りた先に待つのはどんなワクワクだろう。
ラウンジの壁にもたれ掛かりながら、わいわいと賑やかなクラスメイトたちを見つめる。
その口元こそ一文字に結ばれているが、瞳は輝きに溢れていて、］
何が起きるかなー。
［胸には今日への期待がいっぱいだった。
今日はたくさんシャッターを切ろう。手元に残る思い出をどんどん集めていこう。そんな気分になる。
移動中の不思議なゲームは最高に刺激的だった。
でもなんとなく、それを超える刺激的な冒険が自分を待っている気がしている。
修学旅行のしおりを開いて、閉じる。旅程は既に覚えてしまった。冒険はその行間にあるかもしれないし、欄外になるのかもしれない。］
ま、お楽しみということで。
［三國の冒険は続く。続くったら、続く——］
見習rapper ケンドリック
[空に悪態をついて、痛みを誤魔化すようふざけていた時間は終わってしまった。
ずっとここから出られないんじゃないか。
そんな不安を終わった途端ふしぎな名残惜しさに変えてしまった頭の調子を、たしかめるようにひとかきする。
朝焼けの色のきんいろはちらちらとブラインドの合間からこちらをうかがっていて、
「こんな綺麗なのに、なんでか退出10分前コールじみてるな」なんて薄ぼけた頭で思った。]
(………修学旅行終わったら大学どこ絞るか、イモちゃんに相談しよっかな。)
見習rapper ケンドリック
[ベッドの輪郭をなぞっても、引き延ばすための電話の線は見つからない。
立ち上がり日除けのふちを引き上げれば、生まれたばかりの光たちが一斉にとび込んできて。暗がりはベッドの下に追われて眠りにつく。
ある筈も無かった五度の夕焼けの先の朝には、修学旅行が待っている。
いつものようにノリの良い連中に混ざってもいい。何だかんだ喋り疲れたぶん、もの静かなとこに引っ付かせて貰うのもいいかもしれない。
武藤とかなんだか垢抜けたやつだから、ついていけば自分じゃ思いよらぬ行き先に当たるかもしれないし、
『修学』の名分のために組まれたらしい史蹟巡りのプリントも、彩葉に聞けばきっとすぐ埋まるだろう。
堀江に飯のお礼がてら何かを奢ってもいいし、どこかで大槻には『マジ何時VS個人勢〜悶絶地獄変！魔王様大爆発〜』の切り抜きを見せねばない。]
見習rapper ケンドリック
[やりたいことは未来にたくさんある。
過ぎていく日々の愛しさは何ものにも代え難くて、このまま時が止まればいいのになんて感傷も、誰かがちょっとだけ叶えてくれた。
放課後の色づいた教室。体育館の天窓で切り取られてた空。グラウンドの隅で錆びてた鉄棒。鍵のこわれた屋上。小さな先客のいる中庭のベンチ。引くといつも軋む職員室のドア。丁寧に手の入れられた花壇の花のいろ。空き教室に散りばめられた誰かの部活動のあと。
いままぶたを透かしている朝日の色。]
見習rapper ケンドリック
[俺たちはてんでばらばらで、たぶん不ぞろいで、きっと誰もがそれなりに不安や悩み、痛みとか秘密を抱えて生きているのかもしれない。
それでもいまはここで、同じ時に同じ場所にいて、同じ景色を共有している。
これがどれだけ貴い事なのかは青春真っ盛りの今の俺にはちょっとしか分からない。
けれどきっと未来の自分がもっと噛み締めてくれるんだろう。
だから、俺はこの日々を忘れない。
こいつらと一緒にいる楽しかった毎日を、これから長くなり、そして短く縮んでいく日の先で。
いつか今こそ別れ目、いざ、さらばとうたいあげても、ずっと。]**
転校生 武藤景虎
[カツラを脱ぎ、服を替え、表情も変え。
荷物をまとめた後に、足早に車両を移動する。]
(ダメだ、これ以上は危険だ。別の手段に切り替えよう。)
[今回もまた、絶好のチャンスだった筈だ。
手を抜いたつもりは、一切なく。
しかし結果は見ての通りで。]
(このままじゃあ平和ボケが移っちまう。)
[チャンスなんて今までにも何度かあった。
そのたびに気が乗らないと後回しにしてしまった。
……いつものように刹那的な関係を築いた筈だったのに！]
転校生 武藤景虎
[もう1年以上つけている"武藤景虎"という面。
数ヶ月しか使う予定のなかったそれはひどくチープだが、
いつの間にかもう少しこの時間が続けばと思ってしまうほど、愛着がわいてしまっていた。]
転校生 武藤景虎
[この後、"武藤景虎"の姿はどこにもなく、
くたびれた中年男性がひとり、
一般車両から人混みに紛れて降車するのだろう。**]
彩葉・ギブソン
［やがてゆっくりと寝台特急トワイライト・リライトが減速し始めるのを感じて、ノートを閉じた。］
記憶は、時々取り出さないと薄れてしまうわ。
［久しぶりにパスケースから取り出した大切な写真を見れば、「チンギス・ハーンってこんな顔だった？」と首を傾げた。
あんなにも興奮した出来事でさえ、目の前の刺激に上書きされるのだから。］
…だから、人は記録を残すのね。
自分が見聞きしたものを、未来の誰かに残したいから。
［今の所、まだ最初の数ページ。
このノートが修学旅行の間に何ページまで使われるかを楽しみにしながら、手にしたペンを、鞄に仕舞った。]**
彩葉・ギブソン
#指定の話
海藤コウ>>-1981>>-1982>>-1983>>-1985
織田真宙>>-2005>>-2006>>-2009
那鮒祥太郎>>-2027>>-2029>>-2030
今泉杏>>-2078>>-2080>>-2081
棗星人>>-2085>>-2086>>-2087
世良風磨>>-2103>>-2104>>-2106>>-2107
秋月壮真>>-2141>>-2142>>-2143>>-2142>>-2143
津崎絵音>>-2156>>-2157>>-2158
猫村雪之丞>>-2191>>-2192
三国萌々子>>-2209>>-2211
ケンドリック>>-2236>>-2238
彩葉・ギブソン>>-2252>>-2253>>-2254
末光大空>>-2265>>-2266>>-2267
世良風磨
[────というのはもちろん冗談。
俺はどこにでもいる普通の人間で
人並み外れたものなんて持ち合わせていないし完璧でもない。
それでも平穏な学生生活を送るにはなんでもなくて
友人にも恵まれて不自由なく相応に楽しく生きている。]
世良風磨
上手くいかねーのな。くやしー！
[ゲームセットの後、武藤や那鮒や棗の背中を叩いて回り、秋月を意味もなくどつき、けらけら笑いつやんややんやと騒ぎ倒しながらアフタートークに興じていた。三國の頬をつつこうとしたけど流石に思いとどまってやめた。
そうこうして楽しんでいるうちに、長い長い黄昏は色を変え列車内には火が点り、夜を迎える。何事もなかったのように乗組員の姿もそこにあり、俺たちは首を傾げることになったかもしれない。
朝になれば予定通りに列車は目的地に着く。
まさに行楽日和といった晴れ渡る空に出迎えられ、そのあとは恙なく行程を終えて学び舎に帰ることになる。
ちなみに、副担任の眼鏡は無事に帰れなかった。(は無事に帰れなかった。orも無事に帰ることができた。)]
世良風磨
……いろんなもん、見えたなー。
[この旅行中に感じたこと、クラスメイトたちについて知ったことは多い。今まで見えなかった面。改めて思い知らされたこと。
そしてできなかったこと。力を借りようとしても。
いわゆる異常事態に対する畏怖じみたものは不思議と湧いてこなくて、もしこのまま楽しい時間を過ごせるならそれでいいと思ってた。
元々奪って、貰ったものだったから。]
世良風磨
（蓋をしていた穴から薄い匂いが漏れ出ても
さらに蓋をして気が付かないふり。
なにもかもを唯、貴方のために、貴方の分までもと
その衝動に動かされて息をすることが
どこかずれていることだなんてきっと分かっていた。
それでもこの手を離したくない。）
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