[目を覚ました。
列車に乗って、しばらく中を散策したり皆と話したり。
そんな楽しい時間を過ごしていたのに、いつの間に部屋で寝ていたのか。それは何故か思い出せず。
分かるのは夢見が最悪なことだけだ。
胸に渦巻く絶望、焦燥、そして無力に。
あんなにも楽しかった声が、味が、空間が。
なくなってしまったかのように、地獄の沙汰へ落ちていく。
しばらく俯き、ふと窓の外を見て…その光景に絶句する。]
なに、これ……。
[どこまでも広がる橙に目を見開き、まだ夢の中なのかそれとも幻なのか考え……しかし、いつの間にか橙に染めた瞳から一粒、そしてぽたぽたと込み上げてくる。
いっそこのまま永遠に、このまま皆で、幻の中にいた方が、幸せになれるのかもしれない。
そんな馬鹿なことを考えてしまうくらい…鮮やかな世界が焼き付けられる。]