黄昏へ向かうホーム、あるいは列車の中 Case3:棗星人と堀江豊久
[直後、舞台の幕は下がる。]
…リクエスト、後輩だったから…後輩ってこんな感じだよね…?
[中学時代、所属していた演劇部では、人手不足で女ながらも王子役を担っていた。
その結果、ファンと呼べる女の子の後輩が、自分を慕ってくれた。
ちょっとスキンシップの激しかった後輩は、即興劇をする際にモデルとして真っ先に脳裏に過った。]
どうかな?棗…面白かった?
[リクエストをしてくれるあなたに平静な顔を見せながら内心は恐る恐る。]
…ごめん、堀江…調子に乗っちゃっちゃね…。
[自分もちょっとテンションが高かったのかもしれない…やりすぎた実感をじわじわと感じ、外面はなんでもないと装いながら、背中は冷や汗が流れた。]