33 終末文庫プロデュース「トワイライト・リライト」
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【見】 理事長 玉森恭子
[色とりどりの『音』に包まれた車内を、ゆっくりと巡る。
生徒、教師達や、列車内のスタッフとすれ違えば軽く挨拶をして、
――――己の思考は途切れさせないまま。]
【見】 理事長 玉森恭子
(……Pops……Rock……Chorus……
違うわ、何かが違う。
学生らしさに拘らず、少し大人びても……
……Jazz……Metal……Trance……
やはり駄目ね、どれもしっくりこない。)
[かつては、様々なジャンルで数多の曲を彩ってきた自分が、ここまで悩むとは思いもしていなかった。
それほどまでに、特別だから。
彼らが、彼女らへ送る、「ラストアルバム」は史上最高傑作――最も、理事長は己の編み出した曲全てを『最高傑作』だと確信しているのだが――に仕上げたい。
学び舎で健やかに育っていく子供たちを見守る立場は、いつも新鮮な驚きにあふれていた。それに、いつも喜びを感じていた。
……それも、この子達で最後だ。見届けた後は、自分は何をしているだろう……]
【見】 理事長 玉森恭子
[学園が閉鎖しても、己の挟持は変わることはない。
……一つの終わりは、一つの始まりだ。悩むことなんて無い。閉校後も、自分は自分らしくあり続けるだけ。
だから、今は。『現在』を一番に見据えている。]
【見】 理事長 玉森恭子
[気がつけば、列車内の空気がどこか変化しているのは肌で感じ取っていた。
いつも通りに振る舞いながらも、不安さを隠せないでいる者が幾人かいることも。]
(なら、ワタシがAccompanimentするべきは……)
[変わらない事。揺るがぬ軸であること。
一番上に立つ者が臆すれば、不安はあっという間に伝播していくだろう。]
【見】 理事長 玉森恭子
……いいわ。TourにUnexpectedは付きものよ。『案内人サン』、アナタの望みは分からないけれど。
ワタシの愛しいMy Studentsは、きっと乗り越えられるわよ。何があってもね。
[明るい道を歩む者たちも、暗い道を歩む者たちにも。等しく光を分け与えられるように。
せめて少しでも、自分の存在が安息地であるように、そっと祈りを込めて。
いつもと何一つ変わらない表情と足取りで、ラウンジ内に入り指定の場所へ着いた。]
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