59 【ホラーRP村】晩秋の怪
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九条 叶多
[……ああもう。
私の強がりだって、覚悟の思い込みだって、万能じゃないんだからね？]
……宵闇さん。あなたにとっての私が、そうであれたみたいに。
誰かにとってのあなたは、きっと。“癒し”とか“救い”とか。
そんな、すてきなものに。なれていたんじゃ、ありませんか？……ホラーだと癒しにはならないのかな？
それって、とっても幸せなことだから。
……遺す側がこう言うのは、狡いかな。
私は、宵闇さんに最期に、悲しみだけを与えたくなんてないです。
……私を失ってしまうのは。私があなたに与えられたもの以上に。苦しいことに、なってしまいますか？
神部 宵
ぅ、っぐ…カナ、さん、───
[いやだいやだいやだいやだ行かないで行かないで
あの日言えなかったのもしれない言葉が頭の中を埋める
抗いたいのに、抗いたくない
強い力が腕を動かす
解りたいのに解りたくない
腰ベルトに差し込んでいる
キャンプ用のサバイバルナイフへと指先が触れている]
九条 叶多
……私は。
別れの苦しみを「出逢わなければ良かった」なんて抱えてしまうよりも。
「こんなに別れが苦しくなるあなたに、出逢えて幸せだった」なんて、思いたい人間、ですから。
普通の考え方だとは、思いません。
――でも。
私は、あなたに出逢えて良かったです。
そう言いたいし、言って欲しいって。そう、思っちゃいます。
[まだ、大学生ですからね、なんて。
堪えきれなくなって、誤魔化すように。目尻に涙が浮かぶまま、笑う。]
【墓】 小説家 深瀬賢
[腕の中に彼女の温もりがある。
視線を向ければ柔らかな笑みがあって、
幸せを感じると同時に恥ずかしさや、
もっと女性に慣れておくべきだっただろうか――…なんて、
様々な考え、感情が浮かんでくる。
今この村において、そんな場合ではないとわかっているはずなのに。
少しでも、その温もりを独占していたかった。
せめて、目的の場所に辿り着くまでは。]
【墓】 動く死体 佐田春陽
ー佐田春夜・公園にてー
>>+59
[無邪気な少女に微笑みながら、女は少しばつの悪そうな声を出す。]
花束を持つのは、左手にしてもらえないだろうか？
[そう、女には右腕がない。
差し出された左手が手を繋ぐためのものならば、それに応えてあげることは叶わない。故に、女はそう言った。
それから少女が花束を作り直すのを見て、言葉を継ぐ。]
彼岸花か。
この季節になればどこでも咲いているかもしれないが、そういえばこの村には、彼岸花が沢山咲いているな…
[女の生前、この村には、田の近く、道の端、山の中、どこにでも赤い花が咲いていたように思う。]
よし、行こうか。
[女は少女の求めるように、少女に同行するだろう。**]
九条 叶多
……もう少し。いますね。
[子供をあやすような。
そんな、優しい声の出し方をして。]
――えっ。
[ぞわり、とする。
今の宵闇さんからすると、ひどく冷静な――冷静に過ぎる。
声が、聴こえた気がして。
宵闇さんが、近づいてくる。
その様子は――うん。大丈夫。]
ありがとうございます。
……恥ずかしいトコ、私も結構見せちゃってますね。
[涙を拭われたのに。そう返して、はにかんで。]*
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