>>-1172
[痩せっぽちな身体は寝台の上で並べばすっぽりと包まれてしまう。まごついた手つきでアイマスクを外すと、身幹を抱くひと回り太い腕に指先を這わせた。]
(いや、寝れる訳あるか!)
[その後じたじた身動ぎしては何とか身体を返そうと躍起になって、彼が胸を引いて余らせたスペースに転がり込めばご満悦。
こんな風にするのもきっと解いた黒髪を、項を撫ぜる吐息が擽ったいせい。そうに決まっている。
額を胸板にぐいぐい押し付けて、柔軟剤とコロンの香りを一緒くたに取り込んだ。]
きみ
……そらのにおいがする……
[いつも寄り添っていた、子供のまま天に還った少女の夢の断片の代わり。
視界は彼で埋めることにした。*]