(選ばれなかった方=生きている方を参加PCとする)
二人は双子の兄弟ではあるが二つの頭と一つにぴったり繋がった胴体を持って生まれた。
つまるところ、細胞分裂が上手くいかなかった故の結合双生児である。
このままでは一人の人間として長く生きることすら叶わないと診断される。
花ぐはし春、哀れな兄弟が自我を持つ前に粛々と手術はおこなわれた。
母の焦燥は察するに余る。
早世せし父親の生まれ変わりとも言えよう双子の片割れを喪ったその女は、
まるで双子を育てるかのように息子を育てた。
二人分の食事を用意し、二人を交互に寝かしつけ、必要なものすべてを二つずつ揃えて生活を送った。
或る時は健人或る時は風磨と名を呼び、健人はこれが好き、風磨はこれが好きと双子を区別して接した。
息子の自我が萌芽すれば、喪った片割れの話を作っては語り、兄弟は共に育っているのだと思いこませた。