[客室は真っ暗だった。
今朝はカーテンを開けると青空で、電気もつけずに明るい朝の光を味わった。
そのままにしていた車窓から覗き見えるのは、静かな夜。暗闇になれない目をじっと細めながら、足下に気をつけて、そっと窓辺へ。——仰ぎみれば、満点の星空がそこにあった。]
すっご……きれー……。
[この美しさを手元に残しておきたい。
つい昨晩まで使えなかったスマートフォンも、そのカメラも、今朝になると元に戻っていた。
さて今こそ、とスマートフォンを取り出して、写真を撮影しようとしたが、]
まぶしっ、
[ロック画面の明るさに目が眩む。思わず再度、画面を暗くし、瞬きをする。
もう一度、見上げた夜空はさっきよりどこか霞んで見えた。
真っ暗なままの画面と夜空を見比べて、使うことを諦めた便利な板をベッドに放る。
夜空に視線戻してじっと見つめる。次第に美しさが返ってくる。]
……。
[手元に残す記録と異なる色鮮やかな記憶が残ることを祈りながら、眠たくなるまで窓の外を見つめていた。]**