星狩りの国

33 終末文庫プロデュース「トワイライト・リライト」


【独】 放課後の猫 三國萌々子

[客室は真っ暗だった。
 今朝はカーテンを開けると青空で、電気もつけずに明るい朝の光を味わった。
 そのままにしていた車窓から覗き見えるのは、静かな夜。暗闇になれない目をじっと細めながら、足下に気をつけて、そっと窓辺へ。——仰ぎみれば、満点の星空がそこにあった。]

すっご……きれー……。

[この美しさを手元に残しておきたい。
 つい昨晩まで使えなかったスマートフォンも、そのカメラも、今朝になると元に戻っていた。
 さて今こそ、とスマートフォンを取り出して、写真を撮影しようとしたが、]

まぶしっ、

[ロック画面の明るさに目が眩む。思わず再度、画面を暗くし、瞬きをする。
 もう一度、見上げた夜空はさっきよりどこか霞んで見えた。
 真っ暗なままの画面と夜空を見比べて、使うことを諦めた便利な板をベッドに放る。
 夜空に視線戻してじっと見つめる。次第に美しさが返ってくる。]

……。

[手元に残す記録と異なる色鮮やかな記憶が残ることを祈りながら、眠たくなるまで窓の外を見つめていた。]**

(-818) nanaironu 2022/06/24(Fri) 01:57:31

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