星狩りの国

33 終末文庫プロデュース「トワイライト・リライト」


【独】 世良風磨


 ごめんな、ごめんなと震える声で幾度も許しを乞われたって困惑するだけだ。何を言っているかは分かる。それがあまりにも現状と合致しない。
 なにいってるかわかんないよ、とうさん。首を振る父。首を傾げる。横を見れば兄は困ったような顔で同じように首を傾げていた。
 とうさんは悪くないと兄が言う。沈黙が漂う。とうさんは悪くないよ、口真似をした。父は何も言わずに首を振った。

 俺たち双子はこうやって仲良く育っていて、母さんもとっくに退院して元気になった。いったい何が問題だというんだろう。もう手を繋ぐには照れくさい歳だったけれど、兄の手を取って持ち上げて大丈夫、なんて声を合わせたりして。
 ようやく顔を上げた父はそれを見て、すまないとだけ小さく言った。
 

(-315) 2022/06/22(Wed) 01:09:04

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