ごめんな、ごめんなと震える声で幾度も許しを乞われたって困惑するだけだ。何を言っているかは分かる。それがあまりにも現状と合致しない。
なにいってるかわかんないよ、とうさん。首を振る父。首を傾げる。横を見れば兄は困ったような顔で同じように首を傾げていた。
とうさんは悪くないと兄が言う。沈黙が漂う。とうさんは悪くないよ、口真似をした。父は何も言わずに首を振った。
俺たち双子はこうやって仲良く育っていて、母さんもとっくに退院して元気になった。いったい何が問題だというんだろう。もう手を繋ぐには照れくさい歳だったけれど、兄の手を取って持ち上げて大丈夫、なんて声を合わせたりして。
ようやく顔を上げた父はそれを見て、すまないとだけ小さく言った。