◆1日目、ひとり? 夕影を背に帰り道◆ >>1:a59
自室に戻ろうとした背中に、ラウンジからの賑やかな声が響く。
それはいつも教室で耳にするものより心なしか弾んで聞こえるのは、修学旅行の力か。それともこの非日常めいた状況からだろうか。
自然と綻ぶ口元を押さえながら客車へ続く扉をくぐろうとすると、>>1:A73 普段言葉数の少ない級友の落ち着いた声が耳に入った。
少し離れたその距離が自分にはやさしくて、だけどうつしとるその目を見返すことは、どうにもうまくできなかった。
閉じたドア。
前に伸びる廊下はうんと静かでオレンジから遠く、ぼんやりとした影が先へ、先へとはやらせる。
何から逃れたいのかも、目を逸らしたままで?