[あの頃、「先生」達は大人で、自分もいつかはああなるのだろうと思っていたのに、いつの間にか、自分は、この頃の先生達よりもずっと年齢を重ねていた。
この修学旅行は、私達生徒にとっての最後の高校生活の思い出になった。
今思えば、先生達にとっても、この職場での最後の修学旅行だったのだ。
年若い先生達にとっては、教え子達の巣立ちと共に職場が廃校になるのは、教員生活の中でも心に残る出来事だったのではないだろうか。
卒業と共にこの町を離れた自分は、先生達のその後も、みんなのその後も、風の噂程度にしか知らないけれど。
…この旅行が、生徒だけでなく、参加者全員にとって、良き思い出の詰まったものになれば良いと、心から思う。
歳を重ねた自分にとって、この旅行は、キラキラと輝く大切な思い出の一つだったのだから。]