何もかも上手く行き過ぎた二人を引き裂いたのは、
偶然滞在していたモーテルでの火災が切っ掛けだった。
身を呈して若頭を護った相棒は重体に、
自分も半身に大火傷を負った。
それでも始まりに過ぎなかった。
二人の功績を自作自演だと疑う幹部の一人が
瀕死の相棒は敵対勢力の出であると指摘した。
彼が十五で飛び出す前に住んでいた土地は実際に、
他の組織が牛耳っていた地域の真っ只中だった。
近頃は縄張りの隅で小競り合いが多発していたから
家族の中に敵を引き入れた奴が居るとすぐに悟った。
明らかに放火だったモーテルの件の犯人が
一向に見つからないのもその証拠だ。