端的に云えば、二人には向かう処敵無しだった。
暴力の化身と呼ぶべき者の背後に参謀役が在り、
考えに行き詰まった際には相棒の勘が頼りになった。
元来懐っこく気の利く質だったらしい彼奴は
直ぐに組織に馴染んで誰からも愛された。
その面倒見の良さと佇まいの啻ならなさを買い、
いずれアンダーボスの席を譲っても構わなかった。
歳も背丈も変わらなかったが、
その頃既に群狼の氏を授けられていた私は
彼奴にとってどうしようもなく護る対象だったらしい。
血の雨の烟り続ける裏路地でお互いの心を守りあった。
互いの心をふたりの三番目に大事なものとした。
兄弟である前に親友であると思えればそれで良かった。