雨は、己を囲う檻のように思えた。 傘、軒先、建物の屋根。 真っ直ぐ振り落ちるそれは、 世界と己を隔てる鉄柱じみていた。 あなたたち、と呼ばれた。 たとえそこが檻の中でも、ふたりなら平気だった。 でも、どうしてここにはひとりしかいないんだろう。 嫌だ、嫌だ、ひとりは寂しい。 ひとりじゃまともに立っていられない。 ひとりにしないで。