「ほんとに、無駄口たたいてないで始めなさいよ。時間ないんだから」
「時間……世界滅亡シナリオまでの残り時間は、」
「「2か月。」」
「確率が最も高くなる計算上のタイミングね。本当は次の一瞬かもしれない。永遠に来ないで私たちが夏休みの美術の宿題してるだけで済むかもしれないからね。」
「山の担当がよかったなぁ。もう緑なんて見れんかも。」
「見れなくなるのは海かもよ?」
枯れた海小屋に寄り付いた人は100年といない。だからこそ俺たちはここに派遣され、ひっそりと石板を彫っている。そしてそれを残すのだ。各地に分かれて作られた、どこの石板も見つけてもらえないかもしれない、残らないかもしれない。見る人が残る保証もない。大事なことは、やりたいことは、確率を増やすこと、誰がそうしたかの足跡が残らないように行うこと。