星狩りの国

58 不死鳥と天道虫プロデュース 『トロイメライの星宙夜』


【P】 【独】 錬金術師 タルパ

かんかんと照る太陽。古い木造建築物。2人は不自然なほどに汗をかいていない。
「だから、駄目なの。死海文書って知ってる?知ってるよね。」
知らない、と言いたい。
「ヘブライ語聖書の最古の写本。宗教的にも歴史的にも大きな意味を持つそれを人類は解き明かそうと必死だった…でも結局全部は無理だった。なぜか?写本が混じっていたからよ。文字を読めない人が書き写したり、誤字だったりを繰り返して結局手に取った時には意味のない文章になっていたの。紙の文章は可変性が高い。利点でもあるけど、私たちの目的にはそぐわない。変わったら困る。」
「だから石板なの。重いし書き写せないし最悪だけど中身は絶対変わらない。何より耐久性がダンチ。USBなんてほっといても溶けちゃうんだからね?」
まぁ分かった。俺がどんなに紙に連ねていっても原子の爆風は燃やし尽くしてしまうだろう。

相方は上の話をよく聞いていたんだろう。それに含まれる意味もよくかみ砕いて理解したんだろう。俺たちの目的は滅んだあとの世界に技術を残すこと。誰の介入がなくなっても自分たちで生き続けられるようにすること。
本当にそれに意味があるのだろうか?変化を殺して、何もなくなっても前にあった基盤のもとに生き延びる。それは結構。あとの世界は本当に未来といえるのか?変わらないことがそんなにも悪なのだろうか?思わず耳を後ろに絞った。

(-45) 2022/09/28(Wed) 09:16:17

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