世界から赤を搾り取って隔離されたような空間だった。
起伏のある丘が並び、短い植物を赤々と夕日が染め上げる。
研究所は東の丘の上にぽつんと建っている、しかし、景色と同じように緋になり、研修所はまるでどこにもないように感じられた。
もしくは、この景色すべてが研究所だったのかもしれない。
ここは何も変わらないなと隣の男は言う。
車も赤になじんでいる。
「久しぶりでいいのかナ」
赤い髪の女性が室内で我々を待っていた。
射貫くような瞳の横には皴一つ見えない。美しい容姿だが近寄りがたい。
赤には、警告の意味もあると、なぜか頭の中で浮かんだ。
どうだ、と隣の男は言う。
逃げた視線の先の男はだぶついた瞼を覗かせて女を見ている。