[食堂車へ続く扉をくぐると、ライトアップも不要の橙が見事にテーブルクロスを染め上げている。 そこに射す人影はなく、これは先に先生の部屋行くべきだったか?と今更の思い付き。 なんとなくそろりと厨房の方を覗いてみる]すみませーん、誰かいますかー?[返ってくるこたえはなく、乗車時に口数に反して滑らかに手を動かしていたシェフの姿もそこにはない。 なのに、出来上がったばかりのように、スープは香りと共に湯気を立ち上らせていた。]