生駒君、貴方、時々とても怖い顔をしているけども、大丈夫?
なにかあったら言ってちょうだいね。
[少女の身体を庇うように抱いたまま、穏やかな声で問いかける。
視線は真っ直ぐ生駒に向いている。]
貴方も、怖い思いをたくさんしたでしょう?
色んな事が、あったのでしょうね。
生者は死者に関わってはならないの。
もう、違うものなのよ。
良かれと思っても、やがて両者は破滅する。
だからきちんとお別れしないとならないの。
今すぐは無理でも、四十九日までにはお別れなさいな。
[柔らかい言葉で言い、それから微笑んだ。
彼の異変の原因は、恐怖体験から来る死者の依存だと思っていた。死者の誰かを強く心に遺している程度だと。
深い所までの変化とは、気付いていない。]