>>175
[何となく、分かった。
春陽さんが覚悟を決めていることが。
それが何のためなのか、何故なのかは分からなくとも。
春陽さんはきっと、もう止まらないことは少ない時間の中でも分かった。そういうところが好きだったから。
だから分かってしまった。
これはもう、別離なのだと。]
……どうして、ですか…何で…。
やっと好きになれる人が現れたのに…。
[心に思った言葉が傷から血が流れるように出てしまう。
それでも、春陽さんの言葉は黙って聴いて…。
砂を掴むようにぎゅっと手を握る。
好きな人の言葉を忘れないように。春陽さんじゃなきゃ、ダメなんだという気持ち。さまざまな感情が涙になった。]
……春陽さん……。
[その姿が見えなくなってからもずっと、暫くは泣いていた。]